1. はじめに
HPVワクチンは子宮頸癌を予防するためのワクチンです。子宮頸癌の9割近くを予防する効果があり、世界中で広く接種されています。実際にワクチン接種の進んだ先進国では子宮頸癌が減少しており、将来的に子宮頸癌という病気をこの世から撲滅できることが確実とされています。一時期副作用問題で騒がれていましたが、その後の追跡調査で重篤な副反応とワクチンの因果関係は否定されてます。むしろ、もっとも安全性が高いワクチンの一つです。
子宮頸癌は、70人に1人の女性が罹患する可能性のある病気です。他の癌と大きく異なるのは、20代、30代、40代という、まだまだ人生の途中にある若い世代に多く発生する点です。この世代は、仕事や家庭、夢を追いかけている最中。そんな時期に癌に直面することの重さを、想像できますか?
日本では、毎年約3000人の女性が子宮頸癌で命を落としています。その3000人一人ひとりに、大切な人生や夢がありました。家族や友人、そして小さな子供たちを残してこの世を去らなければならない現実の悲しさを、これ以上繰り返してはいけません。
しかし、子宮頸癌は防ぐことができる病気です。子宮頸癌はワクチン接種と検診によってそのほとんどを予防することができます。次の世代に悲しみを引き継ぐのではなく、明るい未来を手渡していきましょう。
当院では子宮頸癌撲滅のために子宮頸癌予防ワクチンと検診の普及に取り組んでいます。
接種のスケジュールも複雑で対象の世代によってかわってきますので、ここではすべての世代にたいして「今後どうすればよいか具体的なポイント」を解説します。
※2024年11月28日 厚生労働省より以下の声明が発表されました。本年度中にワクチン接種を受けた方を対象に1年間接種期限が延長される見込みです。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/index.html
2. 対象別に見る接種ポイント
- 小学6年生~中学3年生の女子
- 未接種の場合
- 早急に1回目を接種しましょう。性交渉を経験する前、また彼氏ができる前に接種することが重要です。
- 2回目、3回目は通常の接種スケジュール(2か月後、4か月後)で問題ありません。
- 1回目接種済みの場合
- 通常スケジュール(2か月後、4か月後)で残りの接種を行いましょう。
- 15歳未満で接種を受けた場合は2回の接種(6か月後)のみでOKです。(シルガードの場合)
- 未接種の場合
- 高校1年生~キャッチアップ接種対象者(1997年~2007年度生まれ)
- 11月までに1回接種済みの場合
- 当初の予定通り、2025年3月までに接種完了しましょう。先延ばしは感染リスクが高まるだけで意味がありません。
- 通常スケジュールで接種が難しい場合、短縮スケジュール(例:1か月後、3か月後)を利用して2025年3月までに接種完了しましょう。
- 例:11月15日に1回目を接種 → 12月15日に2回目、3月15日に3回目で接種完了。
- 12月以降に1回目接種予定の場合
- 現時点(11月29日)では、2025年3月までに3回接種することはできません。2回目、3回目が自費になる可能性があります。
- 厚労省が提言通り、キャッチアップ接種の延長を決定すれば、全3回が公費対象になる可能性があります。そのためにも2025年3月までに少なくとも1回の接種が必要です。まずは早めに1回目を接種することが大切です。
- 11月までに1回接種済みの場合
3. 接種スケジュールと注意点
通常スケジュール(サーバリックス、ガーダシル、シルガード)
- キャッチアップ接種対象者じゃない方は、通常スケジュールで接種しましょう!
- 年度内に接種が間に合わないキャッチアップ世代の方、おそらく接種期間が1年延長されます。通常スケジュールでOKです!
短縮スケジュール:期限内に接種が難しい場合に推奨
- 年度内に接種が間に合うキャッチアップ接種の方(11月までに1回目の接種が完了している方):短縮スケジュールで年度内に3回の接種を完了してしまいしょう!先延ばしにしてもメリットはありません。
4. 質問がある方へ
- 「接種すべきかわからない」「スケジュールの調整が難しい」など迷われる方は、当クリニックまでお気軽にご相談ください。
- 一人ひとりの状況に応じたアドバイスを行います。
- 不安なことやわからないことがあれば、いつでも聞いてください。外来が激混みでもしっかり説明します。
5. まとめ
- HPVワクチンは、大切な娘さんの未来を守るための必須のワクチンです。
- 対象者は、一日でも早い接種が重要です。
- みんなでワクチンを打って子宮頸癌を撲滅しましょう!
ご予約やお問い合わせは坂本レディースクリニックまで!
投稿者プロフィール
- 大学病院で10年以上、診療と研究に従事してきました。産婦人科だけではなく、尿漏れや頻尿などの女性泌尿器疾患、高血圧や脂質異常症などの女性の生活習慣病の予防治療に力を入れています。漢方マニアです。美容医療が趣味で自分にもいろいろ試しています。当院では、自分がやってよかったと思える美容医療だけを厳選して提供してます。なんでもご相談下さい!
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