旅まくらが届いた日
こんにちは。坂本レディースクリニック院長の坂本です。
今日は、医療の話でも趣味の話でもなく――
人生って時々、想像の斜め上をいくなぁという、ちょっと不思議で、ちょっとあたたかい出来事のお話です。
数ヶ月前のことです。
ある日、クリニックのポストに一通の手紙が届いていました。差出人は、私が昔所属していた部活の後輩。
……なのですが、面識はまったくありません。大学生の頃なんてもう20年近く前です。後輩たちも私のことは知らないはず。
以下、後輩からのお手紙(こんな雰囲気)
坂本先輩
突然のご連絡失礼いたします。
私は金沢医科大学バドミントン部に所属しております、〇年の〇〇と申します。
このたび、私たちの部では、春の大会に向けて遠征を計画しております。
全国から強豪校が集まる大会で、日々の練習の成果を試す大切な機会となります。
しかし、遠征にかかる交通費や宿泊費、大会参加費など、活動を続けていくための費用の捻出が難しく、部内で話し合った結果、先輩方にご支援をお願いすることとなりました。
私たちの活動は決して派手なものではありませんが、仲間とともに汗を流し、少しずつ前に進む日々の積み重ねを大切にしています。
いただいたご支援は、部員一同で大切に使わせていただきます。
お忙しい中恐縮ですが、もし少しでもご支援いただけましたら、以下の口座までお振込みいただけますと幸いです。
(振込先情報など)
突然のお願いとなり誠に恐縮ではございますが、どうぞよろしくお願いいたします。
季節の変わり目ですので、どうかご自愛ください。
敬具
金沢医科大学バドミントン部
〇年 〇〇〇〇
そんな趣旨の丁寧な手紙でした。
活動内容も、後輩の顔も、正直よく分からなかったのですが――
なぜだか心が動いたんですよね。
忙しい日々の中で、その素直な呼びかけにふっと立ち止まって、
「こういうのに、少しでも力を貸すのが“先輩”ってもんじゃないか」と思った私は、気づいたら3万円ほどのカンパしていました。(スマホをポチっと)
その後、何の連絡もないまま月日が流れ、私もすっかりそのことを忘れかけていたある日のこと。
3月25日、クリニックのポストにレターパックが届いていました。
差出人の名前を見て、あっ、と思い出す私。
封を開けると――
中に入っていたのは、「旅まくら」という名前のお菓子。
しっとりとした小ぶりのまんじゅう。どこか、旅情を感じるようなネーミングです。
しかも、賞味期限がなかなか攻めた日付【3月27日】。
そしてレターパックの送料が600円。
お菓子の価格と合わせると……いや、計算はやめておきましょう(笑)
旅まくら<8個入り> ¥ 637(税込)
連絡なし、説明なし、ただ物体が届くだけのパターン(笑)
新しい、新しすぎる(笑)
でも不思議と、がっかりとか、残念とか、そういう気持ちはありませんでした。
むしろ、「なんだか、この感じ、いいな」と思ってしまったんですよね。
手紙もメッセージも添えられていなかったけれど、
あの時の気持ちが、時間をかけて、まあるくなって帰ってきたような――
そんな不思議なあたたかさがありました。
おそらく、向こうも大変だったんだと思います。
たくさんの人に支援をお願いして、感謝の気持ちを届けたくても全員に細やかに対応するのは難しかったのかもしれません。
そんな中で、旅まくらを選んでくれたということが、私は嬉しかったです。
もしかしたら、「このお菓子、好きかもな」と思ってくれたのかもしれません。
あるいは、「気持ちだけでも伝えられたら…」という想いだったのかもしれません。
感謝のかたちは、人それぞれ。
手紙でも、お菓子でも、言葉じゃなくても、
こうして届いた気持ちに、私はほっこりさせてもらいました。
そして何より――
これからは、私自身も誰かに感謝を伝えるときには、もっと丁寧でいたいな、と改めて思った出来事でした。
追伸。
旅まくら、普通においしかったです(なんか悔しい…笑)
さりげなく3姉妹にも分けて、あっという間になくなりました(笑)
こうして誰かと分け合えるお菓子って、それだけでいいものですね。