**GSM(Genitourinary Syndrome of Menopause)**とは、閉経後の女性に多く見られる、膣や外陰部、尿路に生じる不快な症状の総称です。
以前は「膣萎縮」や「老人性膣炎」などと呼ばれていましたが、より包括的で科学的な視点から、近年では「GSM」という診断名が使われています。
主な症状
以下のような症状がある方は、GSMの可能性があります:
- 膣の乾燥、かゆみ、ヒリヒリ感
- 性交時の痛み(性交痛)
- 外陰部の違和感、おりものの変化
- 尿漏れ、頻尿、残尿感
- 再発性膀胱炎、排尿時の違和感
日常生活や性生活の質(QOL)を低下させる症状ですが、治療によって改善可能です。
原因とメカニズム
閉経により卵巣から分泌される女性ホルモン(エストロゲン)が減少すると、以下のような変化が起こります:
- 膣や尿道粘膜が萎縮し、乾燥や刺激に弱くなる
- 自浄作用(ラクトバチルスなど)が低下し、感染しやすくなる
- 尿道周囲の支持組織が弱くなり、排尿トラブルが起こりやすくなる
治療方法
坂本レディースクリニックでは、患者様の症状やライフスタイルに合わせて、保険診療から自費治療(導入予定)まで幅広く対応しています。
1. 保湿剤・潤滑剤(軽度の方におすすめ)
- 市販または医療用の膣用ジェル、潤滑剤を使用
- 膣の乾燥・性交時の不快感などを和らげます
- 副作用がほとんどなく、日常的に使用できます
実際には、
- 症状でお困りで受診された方で保湿剤のみで改善するケースはあまりありません
2. 局所ホルモン療法(膣内エストロゲン製剤)
- 膣内にエストロゲンを直接届ける治療(膣錠・膣クリームなど)
- 膣粘膜の厚みと潤いを回復し、性交痛や膀胱の違和感にも有効
- 全身への影響が少なく、安全性が高いとされています
一方で、
- 頻回な通院や膣洗浄の処置が必要なデメリットがあります
3. ホルモン補充療法(HRT)
- 女性ホルモンを内服などで全身的に補う治療法
- GSMに加え、更年期障害(ほてり、発汗、不眠など)にも効果あり
- 骨密度維持や生活習慣病の抑制にも効果あり
ただし、
- 不正出血
- 乳がん・子宮体がんなどのホルモン関連腫瘍のリスク
- 血栓症の可能性
などのリスクがあるため、慎重な評価と定期的なフォローが必須です。
当院では産婦人科専門医が、適切な検査と管理のもとで治療をご提案します。
4. 最先端医療機器によるアプローチ(※現在導入準備中/自費診療)
坂本レディースクリニックでは、GSMに対するより高度な治療法として、以下の最新医療機器を導入予定です。
🔸 モナリザタッチ(CO₂レーザー・スマートサイドタッチ搭載)
- 微細な熱刺激により膣粘膜の再生を促進
- 外陰部と膣粘膜を再生することで、女性器のアンチエイジング
- 海外論文でも効果が報告されており、安全性も高い治療法です


🔸 yoni HIFU(膣ハイフ)
- 高密度焦点式超音波を用いて膣の深部に働きかけ、ハリと潤いを回復
- とくに産後に膣のゆるみが気になる方、尿漏れ・お湯もれが気になる方に適しています
- 非侵襲・非ホルモン治療として注目されています

🔸 yoni RF(膣RF/高周波)
- 高周波の温熱刺激により、コラーゲンの再構築と血流改善を促進
- 施術の機械が小さいので、膣の萎縮が強い方も治療して頂けます
- ダウンタイムが少なく、繰り返しの施術にも適しています

これらは、熱や超音波、ラジオ波による刺激でコラーゲン再構築や血流促進を促し、膣粘膜を根本から再生させる治療法です。副作用が少なく、繰り返し施術が可能で、次のような方におすすめです:
- ホルモン療法に抵抗がある方
- 強い乾燥感・性交痛などに早期改善を望む方
- 年齢問わず、QOLを改善したいすべての女性
※これらの膣専用治療機器を同時に導入予定のクリニックは全国でも極めて稀です。
正式な治療開始時期は、準備が整い次第ホームページやLINEでお知らせいたします。
がん治療後の方へ:ホルモンを使えない方にも有効な治療を
乳がんや子宮体がんなど、ホルモン感受性の婦人科がんを治療された方は、エストロゲン製剤の使用が制限されるため、GSMの治療に困るケースが少なくありません。
このような方には、ホルモンを使わずに粘膜の再生を促すCO2レーザー・HIFU・RF治療が適しており、安全性と有効性の両面から注目されています。
当院では、がん治療後のGSMにも寄り添った診療を行ってまいります。ぜひ一度ご相談ください。
よくあるご質問(FAQ)
Q1. 恥ずかしさがあって相談しづらいのですが…
→ デリケートなお悩みにこそ、専門的な対応が必要です。
当院では、婦人科医療に精通した産婦人科専門医が診察を行い、カウンセリングや施術は産婦人科医師または女性スタッフが担当いたします。プライバシーに十分配慮しておりますので、安心してご相談ください。
Q2. 何科を受診すればいいのかわかりません…
→ GSMは婦人科の領域です。
「尿のトラブルだから泌尿器科かも?」と迷われる方もいますが、閉経や女性ホルモンの変化に起因する症状であるため、婦人科での診療が適しています。
Q3. 保険診療で治せますか?
→ はい、局所ホルモン療法や診察・内診などは保険適用で対応可能です。
今後導入予定のレーザーやHIFUは自費診療となりますが、効果の高い治療法として選択肢に加わる予定です。
Q4. GSMは自然に治りますか?
→ 基本的に、自然に改善することは期待できません。
エストロゲンの低下は加齢とともに進行するため、放置すると症状が悪化するケースも少なくありません。
早期に対処することで、日常生活の快適さを保つことができます。
Q5. セルフケアでは不十分ですか?
→ 保湿剤などで一時的に和らぐ場合もありますが、根本的な改善には医療的アプローチが必要です。
症状がある場合は、早めに婦人科専門医へご相談ください。
まとめ:年齢のせいとあきらめる必要はありません
GSMは閉経後に誰にでも起こりうる変化です。ですが、我慢せず、正しいケアと治療を行うことで、快適な毎日を取り戻すことができます。
閉経後も人生は続きます!お困りの方はぜひ、当院までご相談ください!
坂本レディースクリニックでは、専門医による丁寧な診療と、今後導入予定の最新医療機器により、患者さまお一人おひとりに合った最適な治療をご提案してまいります。
📞 ご予約・お問い合わせ:076-225-3305
💻 WEB予約フォーム:https://sakamoto-lc.com/
📍 石川県金沢市八日市4丁目376
投稿者プロフィール

- 院長
- 大学病院で10年以上、診療と研究に従事してきました。産婦人科だけではなく、尿漏れや頻尿などの女性泌尿器疾患、高血圧や脂質異常症などの女性の生活習慣病の予防治療に力を入れています。アンチエイジング、美容医療、健康マニア。話題の美容医療はだいたい試しています。当院では、自分がやってよかったと思える美容医療だけをお手軽価格で提供してます。なんでもご相談下さい!
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