あっという間の1年と、これからの話
こんにちは。坂本レディースクリニックの坂本です。
2024年4月23日に開院してから、気づけば1年が経っていました。
いや、正確に言うと……気づいたら1周年が終わってました(笑)。
あまりにバタバタしていて完全にスルーしていたのですが、
ある日、業者さんから届いた「開院1周年おめでとうございます!」というお花を見て、
「あっ……1年たったんだ……!」と、しみじみ実感しました。
本当は「1周年記念でなにか患者さんへの美容医療の還元イベントでもやろう!」「記念品をつくろう!」と意気込んでいたのですが、
すっかり忘れてました。すいません。
今年中には何かやります。たぶん……いや、きっと……。
開院1年で6500名以上の患者さんにご来院いただきました
この1年間で、6,500名以上の新しい患者さんにご来院いただきました。
婦人科クリニックとしては、私たちの想像を超えるご来院数だったと思います。
これほど多くの方に足を運んでいただけたことに、驚きと感謝の気持ちでいっぱいです。
同時に、それだけ地域に必要とされている責任の重さも日々感じています。
もちろん、私たちの力不足でうまくいかなかったこともたくさんありました。
厳しいお言葉をいただいたこともありますし、反省と改善の連続でした。
それでも、少しずつ地域の方々に信頼していただき、
「ここに来てよかった」「話しやすかった」
そして何より、「ずっと悩んでいた症状がよくなりました」といったお声をいただけるようになってきたことが、私たちの何よりの原動力です。
ワクチン接種は約1200本。コツコツ続けてきました
昨年は、子宮頸がんワクチンのキャッチアップ接種の最終年という節目の年でもありました。
この一年間で、約1,200本近くの子宮頸がんワクチンを接種させていただきました。
全国的に見ても、かなり多い方かもしれませんが、
それ以上に「受けるきっかけをつくること」が私たちの役割だと思い、地道に取り組んできました。
これからも、子宮頸がんで悲しむ方が一人でも減るよう、啓発と接種の取り組みを続けていきます。
子宮頸部異形成のレーザー治療、準備を進めています
今年は、新たな取り組みとして子宮頸部異形成に対するレーザー治療の導入を、前向きに検討しています。
石川県内では、この治療に対応できる施設がほとんどないのが現状です。
背景には、治療に使うCO₂レーザー機器がとても高額であることがあります。
実際、産婦人科はどこの総合病院でも収益を上げにくい部門とされていて、
どうしても経営面からの優先度が下がってしまいがちです。
(やっぱり循環器科や整形外科、眼科あたりが“経営的には”花形なんですよね…)
産婦人科は女性の人生に深く関わる、とても大切な診療科だと思っていますが、
明らかに赤字になるような機器となると、なかなか導入の承認はおりません。
私自身も、以前の勤務先で何度も機器申請を出しましたが、残念ながら通りませんでした。
でもある日、ふと気づいたんです。
「あれ? 自分のクリニックだったら、誰の承認も得なくても買えるじゃん」って(笑)。
そうなんです。決定権も責任も、すべて俺。
シンプルイズベスト。これこそ開業医の醍醐味です。
子宮頸がんをなくすために、できることを
私は大学病院時代、子宮頸がんの患者さんをたくさん診てきました。
若くして子宮を失い、子どもを持つことができなくなった方。
小さなお子さんを遺して、無念のまま亡くなった方。
子宮頸がんは、女性の人生の最も充実した時期を突然奪ってしまう癌です。
しかもこの癌は、予防法が確立され、撲滅が現実的に可能な唯一の癌と言われています。
それなのに今の日本では、年間3,000人以上の女性が今もなお子宮頸がんで命を落としている。
この現実を、何とかしなければいけないと強く思っています。
そして、自分にも三人の娘がいるからこそ、
子宮頸がんの怖さや苦しさを知っている身として、
これからの若い女性には同じ思いをしてほしくない、という気持ちは、どうしても強くなってしまうんですよね。
子宮頸がんをなくすために必要なのは、ワクチン・検診、そして子宮頸部異形成の治療。
この3つがそろって、子宮頸癌を撲滅することが可能になります。
レーザー治療は、不採算部門であり赤字必至の設備かもしれません。
でも、それでも導入を前向きに考えているのは、子宮頸がんの患者さんを一人でも減らしたいという気持ちからです。
……とはいえ、CO2レーザーってぶっちゃけ超高いです。ベンツのゲレンデ普通に買えるやん……って値段です(汗)。
でもまあ、なんとかなるでしょう。たぶん。
どんぶり勘定と気合でなんとかなっちゃうのがクリニック経営のいいところ?ですから(笑)
他に担える場所が少ないからこそ、前向きに取り組みたい
「生まれる場所によって、受けられる医療が限られる」
そんな現実を少しでも変えていきたいという思いで、
今、自分のクリニックで導入できないか、真剣に検討を進めています。
現在、石川県では対応できる施設が限られており、
この地域で必要とされるなら、自分にできることをやっていきたい──
そういう気持ちで準備を続けています。
正直、採算が取れるかはわかりませんが
治療を必要としている方がいるなら、
可能なかぎり、道を開ける存在になれたらと思っています。
そして、やるからには中途半端にしたくありません。
今年は、もう一度研修医に戻ったつもりで、貪欲に知識を吸収し、技術を身につけていくつもりです。
5月・6月・7月には関連学会やセミナーに参加しますし、
専門施設での手術見学も予定しています。
クリニックから、必要な医療を届けたい
まだまだ発展途上のクリニックですが、
「ここなら安心して任せられる」と言っていただける場所になれるよう、
日々試行錯誤しながら、前に進んでいきます。
2年目の坂本レディースクリニックも、どうぞよろしくお願いいたします!
追伸
患者さんから「先生、ちょっと塩対応ですよね」と言われることがあります。
本当にすみません……真剣に診療しているうちに、気づけばそうなっているんだと思います。
でも、中身は抜けたところも多いおじさんなので(笑)、どうか引かずに優しく接していただけると嬉しいです。
診察室ではやや緊張感を持っている私ですが、みなさんの力になれるよう、これからも一生懸命やっていきますので、二年目の当院もどうぞよろしくお願いします。