妊娠かもと思ったらまずすること

生理が遅れている、もしかして妊娠かもしれない、妊娠反応テストが陽性だったとき

婦人科や産婦人科のクリニックに受診することをお勧めします。妊娠反応が陽性であっても妊娠初期の流産や子宮外妊娠、胞状奇胎などの異常妊娠の可能性があります。まずは、クリニックで異常な妊娠ではないか診察をうけることが重要です。

初回受診と検査

はじめてクリニックを受診したときに行うことが多い検査は尿検査と経腟超音波です。とくに経腟超音波が大切で、子宮内に胎嚢という赤ちゃんの袋があるか診断をつけることで正常妊娠と異常妊娠の鑑別を行います。胎嚢は妊娠5週相当から確認できますので、それ以前の早い週数では妊娠の確認ができないことがありますので、正常妊娠を確認するまではこまめに診察を受ける必要があります。持病の治療中の方は、妊娠に影響を与えないかどうか確認し、治療薬の調整が必要なことがあります。

予定日決定と母子健康手帳の発行

胎児が順調に発育し、胎児心拍が確認されて予定日が決定されれば、各クリニックから予定日証明書が発行されます。妊婦さんはその時点でできる限り早く、予定証明書をもって各自治体の窓口で妊娠の届けで行ってください。各自治体より母子健康手帳(母子手帳)が発行され、妊娠中の健康管理が開始されます。この母子健康手帳は、母体の健康状態を管理するほかにも、お子さんのは発育過程や予防接種を記録しておくもの、お子さんの健康記録として一生残るものなので大切にする必要があります。

妊婦検診について

妊婦検診のスケジュールと注意点

妊婦検診のスケジュールは妊娠初期、妊娠中期、妊娠後期によって異なります。

妊娠初期では4週間に一度程度の診察スケジュールで母体の健康管理を行います。この時期には妊娠悪阻(つわり)や切迫流産などの症状が出ることがあるので注意が必要です。感染症の採血や子宮頸がん検診がこの時期に行われます。悪阻がよくなった後に体重が急激に増加する方もおられるので、この時期に適切に体重管理を行うことが重要です。

妊娠中期は2週間に一度程度の診察スケジュールで母体の健康管理を行います。子宮が大きくなるにつれてお腹の張りが増えていきます。切迫早産や妊娠糖尿病などの症状が出現することもありますので注意が必要です。また、少しずつ出産の準備を始めていく必要があります。

妊娠後期は1週間に一度程度の診察スケジュールで母体の健康管理を行います。この時期になってくるとお腹が大きくなってくるため、骨盤に負担がかかり腰痛や股関節の痛みが出現します。また、胃が圧迫されるため食後に不快感を感じることがあります。この時期は分娩にむけて体調を整えていくことが重要です。陣痛が始まったときにどうすればいいか、事前に分娩施設に確認しておく必要があります。

妊娠管理と分娩管理をする施設について

妊婦検診から分娩まで必ずしも同じ施設で行う必要はありません。とくに産休に入るまでは仕事をしながら通院する必要がありますので、待ち時間の長さや予約の取りやすさなど考慮した上で妊婦さんが通院しやすいクリニックで妊婦検診を行い、分娩する時期になったタイミングで妊婦さんのリスクに合わせた適切な分娩施設へ転院して出産を行う方法があります。

妊娠管理をする施設の選び方のポイント

妊娠期間中はつわりや腰の痛みなど様々な体調の変化が生じます。妊娠初期から妊娠中期まで、妊婦さんがストレスを感じることのなく通院ができるクリニックを選択するのも一つの選択肢です。また、妊娠中の母体管理だけではなく、胎児のスクリーニングもできる施設で検診を行うことで妊娠中に赤ちゃんの先天性疾患の診断ができる可能性があり、分娩施設の選択や出生後の赤ちゃんの治療までスムーズにつなげることができます。

分娩を行う施設の選び方のポイント

妊娠後期に入ると、分娩の準備をする必要があります。妊娠30週くらいで分娩施設への転院を考えましょう。分娩施設を選択する際に重要なことは、妊婦さんご自身の妊娠がどれくらいのリスクがあるのかどうかを判断した上で分娩施設を決定する必要があります。たとえば、高齢妊娠や体外受精での妊娠、複数回の帝王切開の既往がある妊娠、血圧が高い人、糖尿病と診断された人、合併症がある人などは大学病院などの周産期集中治療室があり、新生児科医師が勤務している施設での分娩をお勧めします。ご自身の分娩をどこですべきか悩まれている方はお訊ねください。

まとめ

  • 妊娠がわかった時点で、できる限りはやく産婦人科を受診しましょう。
  • 必ずしも分娩予定施設で妊婦検診を受ける必要はありません。妊婦さんのニーズに合わせた施設で妊婦検診を行いましょう。
  • 妊娠中の胎児スクリーニングに対応する施設では、胎児の生まれつきの病気がないか評価できます。
  • 妊娠中に赤ちゃんの病気がみつかった場合は、生まれる前にいろんな準備をすることができるのでメリットがあります。
  • 分娩できる施設を選ぶ際には様々なニーズがありますが、妊婦さんそれぞれのリスクを考慮した上で選択しましょう。

投稿者プロフィール

坂本人一
坂本人一院長
大学病院で10年以上、診療と研究に従事してきました。産婦人科だけではなく、尿漏れや頻尿などの女性泌尿器疾患、高血圧や脂質異常症などの女性の生活習慣病の予防治療に力を入れています。漢方マニアです。美容医療が趣味で自分にもいろいろ試しています。当院では、自分がやってよかったと思える美容医療だけを厳選して提供してます。なんでもご相談下さい!