シミの原因とその種類
シミの原因
シミの主な原因として考えられているものが、加齢、紫外線や肌への刺激、ホルモンバランスの変化です。外部からの皮膚への刺激により、皮膚の中にあるメラノサイトが活性化し、メラニンというシミの原因になる物質が過剰に産生されます。通常は皮膚のターンオーバーにより古い角質とともに過剰産生されたメラニンが排出されますが、正常なターンオーバーのサイクルが乱れるとメラニンが排出されないまま残ってしまい、それがシミになると考えられています。とくに長年紫外を浴び続けた人やたばこを吸っている人やストレスが多い人、加齢により肌の再生能力が低下している人はシミができやすいので注意が必要です。
シミの種類
シミにもさまざまな種類があり、医学的には老人性色素班(脂漏性角化症を含む)、雀卵斑(そばかす)、肝斑、ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)、炎症性色素班の5つに大きく分けられます。それぞれにあった治療法やケア方法があり、間違った治療法をすることでシミが悪化することもありますので、まずは正しく診断して適切なケアを選択することが重要です。
老人性色素班(脂漏性角化症を含む)
顔面のどの部分にもできる形や大きさが不定形の色素班です。紫外線の暴露により発生、増悪し、多発しやすく、ゆっくり増大して色も濃くなっていきます。頬に多発した場合は、雀卵斑(そばかす)、肝斑やADM(後天性真皮メラノサイトーシス)と鑑別が難しいことがあります。平らなものがいわゆるシミと呼ばれるものですが、放置することで次第に盛り上がっていき、最終的には脂漏性角化症という老人性のイボになります。脂漏性角化症は、紫外線障害による表皮ケラチノサイトの良性腫瘍変化であるため、レーザーなどで完全に摘除する必要があります。そのため、普段から日焼け止めを使用して、シミができた段階で治療することが望ましいと考えられます。
エビデンスのある治療
遮光、光治療、ロングパルスレーザー、Qスイッチレーザー、ピコレーザー、炭酸ガスレーザー(脂漏性角化症)
雀卵斑(そばかす)
鼻から両胸部にかけて、比較的大きさの揃った2-3㎜の色素班が等間隔に多発するのが特徴です。シミの中では発症がもっとも早く、早い人だと小学生くらいから出現します。紫外線が原因で増悪するため、日焼け止めを徹底することが重要です。体質の影響が強いことがわかっており、家族にそばかすの方がいると出やすい傾向にあります。
どちらかと言えば、生まれつきの疾患と考えられており、完治させることは難しいですが、日焼け止めを徹底して、濃いものは光治療やレーザーで治療する方針になります。
エビデンスのある治療
遮光、光治療、ロングパルスレーザー、Qスイッチレーザー、ピコレーザー
肝斑
両頬部に広がる色素班で、成人女性に多く認められます。両頬から鼻にかけて色素班がつながっているのが特徴で、慢性的な炎症が関与しているため、赤みを帯びていることが多いです。その原因ははっきりとはわかっていませんが、紫外線や女性ホルモン、ストレス、擦りすぎなどの機械的刺激の関与が疑われています。治療が難しいことが多く、再発を繰り返しますが、治療の基本は炎症を抑えるための内服治療が中心となります。これまで肝斑に対する様々な施術の試みが行われてきましたが、レーザー、ピーリング、光治療などはめぼしい効果がないがわかっています。肝斑に対してQスイッチレーザーやピコレーザーを比較的低フルエンスで高頻度に照射するレーザートーニングも行われていますがまだ十分なエビデンスはなく、治療中止後に高頻度に再発することと難治性白斑を生じるリスクがある点には注意が必要です。
エビデンスのある治療
遮光、トラネキサム酸内服、レーザートーニング△
ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)
ADMは真皮メラノサイトが活性化してメラニンを産生した結果できるシミです。他のシミが皮膚の表面の表皮にできるシミであるのに対し、ADMは皮膚の深いところにある真皮で発生します。できる場所がある程度決まっており、頬、下眼瞼、鼻根部、こめかみから上眼瞼外側、おでこの外側に左右対称にできるのが特徴です。肝斑や老人性色素班との鑑別が難しいこともありますが、各色素班の大きさが比較的揃っていて正常皮膚の境目がややぼやけているのが老人性色素班との違いで、それぞれの色素班がつながっていないことが肝斑との違いのポイントになります。治療するためには深い真皮にまで到達するQスイッチレーザーやピコレーザーの高フルエンス照射が必要になります。一方で、ロングパルスレーザーや光治療の効果は期待できません。
エビデンスのある治療
Qスイッチレーザー、ピコレーザー
炎症性色素班
炎症性色素班は、外傷や熱傷、皮膚アレルギーなどの強い炎症が皮膚に起こった後に生じます。これはシミ取り治療後にも起こることがあります。炎症が原因で起きているため、レーザー治療などの刺激を与えるとかえって増悪する結果になりかねません。基本的な治療の考え方は、炎症の原因を取り除くことになります。
エビデンスのある治療
遮光、炎症の原因疾患の治療
まとめ
シミといっても様々な原因とそれぞれに適した治療法があります。まずはどんなタイプのシミなのかを診断した上で、適切な治療を選択する必要があります。患者さんの中には複数タイプのシミが合併していることもあり、その場合は治療計画も複雑になりますので、患者さんごとの状況に合わせた治療を選ぶことが大切です。
投稿者プロフィール
- 大学病院で10年以上、診療と研究に従事してきました。産婦人科だけではなく、尿漏れや頻尿などの女性泌尿器疾患、高血圧や脂質異常症などの女性の生活習慣病の予防治療に力を入れています。漢方マニアです。美容医療が趣味で自分にもいろいろ試しています。当院では、自分がやってよかったと思える美容医療だけを厳選して提供してます。なんでもご相談下さい!
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