50歳以上に好発する帯状疱疹とその予防法

帯状疱疹は水痘・帯状疱疹ウイルスに起因する病気です。大人に出現する場合は、過去に感染して潜伏感染していたウイルスが再活性化することで生じます。加齢やストレスをきっかけに発症し、50歳以上の方で好発することがわかっています。ここでは、50歳以上の方にむけて、帯状疱疹ワクチンについての情報提供を行います。

帯状疱疹の症状

通常、体のどちらか一方に痛みを伴う発疹が出現し、上半身に多くみとめられますが、顔面にできることもあります。顔面にできた場合は難聴や顔面神経麻痺の重症例が出現することがあるため注意が必要です。発疹ができた後は水疱ができて、そのあとかさぶたになり自然治癒しますが、皮膚症状が治癒した後も痛みが残ることがあり、これは帯状疱疹後神経痛(PHN)と呼ばれる合併症で、帯状疱疹の後に一定の頻度で発症することがわかっています。

帯状疱疹ワクチンの種類と適応

帯状疱疹ワクチンは、帯状疱疹の発症リスクを軽減し、病気の重症化を防ぐ選択肢になります。また、安全性が確認されており、一般的な副作用は軽度です。

帯状疱疹ワクチンには乾燥弱毒生水痘ワクチン(ビケン)と不活化ワクチン(シングリックス)の2種類があります。

ビケンシングリックス
ワクチンのタイプ生ワクチン不活化ワクチン
接種方法皮下注射筋肉注射
接種回数1回2回(2回目は2か月後)
対象者制限なし
(妊婦や免疫不全者は除く)
50歳以上、または帯状疱疹に罹患する
リスクの高い18歳以上の免疫不全者
予防効果50%程度50歳以上:97%、70歳以上:90%
PHN抑制効果66%程度50歳以上:100%、70歳以上:85%
効果持続期間5年程度9年以上
費用(税込み)8800円22,000円(合計44,000円)
メリット1回接種
費用が安い
予防効果が高く、持続期間が長い
免疫不全者も接種できる
他ワクチンとの接種間隔が1週間
デメリット妊婦や免疫不全者は接種できない
効果が劣り、持続期間が短い
他ワクチンとの接種間隔が1か月
2回接種が必要
費用が高い
筋肉注射が少し痛い

当院では、予防効果が高く、万が一発症した際もPHNの予防効果が高いシングリックス(不活化ワクチン)を推奨しています。接種される方の状況に合わせて適切なワクチンを提案させて頂きます。

当院での帯状疱疹ワクチンについて

予約にて接種を承っております。自分は打った方がいいのかな?どちらのワクチンを打った方がいいのかな?など疑問に思うことがあればお気軽にお問合せ下さい。

自治体の助成

石川県内の各自治体の助成をまとめました。(令和5年度現在)

最新の助成については各自治体にお問い合わせください。

接種済証明書や領収書が必要な方は受診時に申し付けください。

金沢市なし 全額自己負担
白山市なし 全額自己負担
野々市なし 全額自己負担
内灘町なし 全額自己負担
津幡町ビケン:2000円/回
シングリックス:6000円/回
かほく市ビケン:3000円/回
シングリックス:6000円/回
中能登町ビケン:3000円/回
シングリックス:6000円/回

よくある質問:50歳以上で帯状疱疹になった人はどうすればいいですか?

帯状疱疹は免疫力の低下によって出現しますので、最近帯状疱疹にかかって治った人はすでに免疫が活性化していますので、帯状疱疹にかかりにくくなっています。この状態ですぐにワクチン接種をするメリットはあまりないとも考えられますので、直近で帯状疱疹にかかった既往のある方はワクチン接種を見合わせてもいいかもしれません。

そのため、免疫が下がるタイミングでのワクチン接種をお勧めします。どの程度の期間をあけるべきかは医学的根拠のあるデータはありませんが、免疫抑制するような基礎疾患のない方の場合は、数年後に接種を検討するので問題ないと考えます。

まとめ

加齢とともに帯状疱疹のリスクが増加します。帯状疱疹にかかるとつらい症状になるばかりか後遺症を残すことがあります。ワクチンによる発症予防効果、軽症化が期待できます。接種希望の方はご相談ください。

投稿者プロフィール

坂本人一
坂本人一院長
大学病院で10年以上、診療と研究に従事してきました。産婦人科だけではなく、尿漏れや頻尿などの女性泌尿器疾患、高血圧や脂質異常症などの女性の生活習慣病の予防治療に力を入れています。漢方マニアです。美容医療が趣味で自分にもいろいろ試しています。当院では、自分がやってよかったと思える美容医療だけを厳選して提供してます。なんでもご相談下さい!