石川県金沢市・野々市市・白山市の産婦人科・女性泌尿器科・漢方内科|駐車場20台分以上完備

 坂本レディースクリニック

HOME > 診療科目 > 検診・ワクチン > HPVワクチン > 子宮頚癌とHPVワクチン

子宮頚がんと予防ワクチン

このページは子宮頚癌と子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)に関するページです。

 子宮頚癌は30歳代から40歳代の女性に好発する癌です。この年代の女性は子育てや責任のある仕事をしていることが多いと思います。やりたい仕事もできず、小さな子供を残してこの世を去る女性が一人でも少なくなるように、自分たちの娘の世代に同じ思いをさせないように、子宮頚癌の早期発見と予防に努めることが私たちの使命だと考えています。

このページのポイントを1分で解説

  • 子宮頸がんは20代、30代の女性で最も多い癌です。
  • 年間1万人があらたに発症し、3000人が亡くなっています。
  • 小さな子どもを残して癌で死亡してしまう恐ろしい病気ですが、今は予防ができます。
  • 子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)が原因で起こります。
  • 中学生1年生~高校1年生までの間に子宮頸がん予防ワクチンを接種することと定期的な子宮頸がん検診をうけることで予防が可能です。
  • 子宮頸がん予防ワクチンが安全であることは確認されています。
  • 子宮頸がん予防ワクチンは定期接種ワクチンで必ず接種する必要があります。
  • 親世代は必ずご自身が検診を受けることと、娘さんにワクチンを接種してあげてください。

子宮頚癌について

子宮頚癌とその原因

 子宮頚癌は子宮頚部という子宮の入り口にできる悪性腫瘍です。30歳台から40歳台の若い女性に好発する癌で、近年20歳台の子宮頸癌患者が増加しております。また、日本において毎年およそ3000人がこの病気が原因で死亡しています。
 子宮頚癌の原因はヒトパピローマウイルス(HPV)です。HPVは性行為を介して人から人へ感染します。HPVは特別な感染症ではありません。性交経験のある女性であればだれでも感染する可能性のあるウイルスです。はじめて性交を経験した女性の半数以上が1年以内にHPVに感染しており、また、性交経験のある女性の生涯感染率が80%至ることがわかっています。
 過去には、性的パートナーが多い女性しか子宮頚癌にならないという偏見の時代もありましたが、けっしてそんなことはありません。子宮頸癌は普通に生活している女性なら誰でも罹患してもおかしくない病気です。
 

子宮頚癌の症状と進行過程

 子宮頚癌で多い症状は不正性器出血です。性交時の出血ではじめて気が付くことが多いです。子宮頚癌は進行することで、局所に浸潤することで膀胱や直腸に癌が浸潤してしまい、完治が難しくなります。
 癌になる前の前がん病変である子宮頚部異形成の状態を子宮頸がん検診で見つけることができるため、定期的に検診を受けることが大切です。
 

子宮頚癌のリスクファクター

 子宮頚癌の一番大きなリスクファクターはHPV感染です。その他、喫煙習慣なども癌化のリスクとして知られています。
 

子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)

子宮頸がんワクチンの効果と働き

 子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)の効果は、HPV感染を未然に防ぐことです。HPVワクチンがHPV感染を予防する効果は非常に高く、接種するだけで対応しているHPV型感染をほぼ100%防ぐことができます。
 HPVワクチンがHPVの感染だけではなく、子宮頚癌を予防することができる医学的なエビデンスも蓄積されてきており、実際にスウェーデンではHPVワクチン接種により子宮頚癌の86%が予防できたと報告されています。
 一方で、①子宮頚癌を誘発するすべてのHPV型に対応しているわけではないため、必ず子宮頸がん検診も受ける必要があること、②すでに感染しているHPVを排除する効果はないため性交経験前の女児に接種することがベストであること、に留意しておく必要があります。
 

子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)の種類と接種方法

 HPVワクチンは日本の定期接種ワクチンです。定期接種ワクチンは小児期すべて接種し終えると考えている方が多いかもしれませんが、HPVワクチンの定期接種対象者は、中学1年生から高校1年生相当の女児です。親御さんが責任をもって接種させてあげる必要があります。
 現在日本で定期接種の対象となっているワクチンは以下の三つです。
 

サーバリックス

2価ワクチン

ガーダシル

4価ワクチン(コンジローマに対応)

シルガード

9価ワクチン(コンジローマ+7種類のHPV型に対応)

 9価ワクチンで対応できるHPVは日本人の子宮頚癌の88.2%であるため、9価ワクチンを打つだけで9割弱の子宮頚癌を予防することが期待できます。
 また、海外では男性に対するHPVワクチン接種も行われていますHPVは子宮頸がんだけではなく、陰茎がん、中咽頭がんなど様々な癌の原因になります。男性に対しても大きな恩恵がありますので、当院では接種希望の方に接種を行っております。ただし、男性は公費接種の対象ではないため自費になります。
 

HPVワクチンの安全性と副反応

 一昔前、HPVワクチンに関してショッキングな映像と副反応問題が連日のようにメディアで取り上げられていたことが記憶に新しいのではないかと思います。この報道のこともあり、非常に危険なワクチンという印象をお持ちの方も多いのではないかと思いますが、その後に厚労省が行った大規模調査により、HPVワクチンの安全性は確認されました。安全性を示すデータは以下の引用の通り、公的機関によって公開されております。

【全国疫学調査(祖父江班)】①HPVワクチン接種歴のない者においても、HPVワクチン接種後に報告されている症状と同様の「多様な症状」を呈する者が、一定数存在した。②本調査によって、HPVワクチン接種と接種後に生じた症状との因果関係は言及できない。

NAGOYA STUDYでも同様に、ワクチンを打っている人にも打っていない人にも同じくらいの確率で疼痛や意識消失やしびれ、けいれん発作などがこの世代の女性に起こっていたことがわかりました。これは、もともと失神発作などを起こしやすい思春期女性において、ワクチンの副反応に対する恐れや不安、そして筋肉注射特有の痛み(HPVワクチンはとくに痛い)が誘引となって起こった症状の一つとして結論付けられました。
 もちろん、本当にHPVワクチンによって重篤な副反応が生じたケースもあります。しかし、HPVワクチンの重篤な副反応の頻度は接種1万人あたり約3人程度であることがわかっています。インフルエンザワクチンの重篤な副反応が接種1万人あたり約15人という数字からしても、HPVワクチンだけに重篤な副反応が多いわけではないことがわかっていただけると思います。
 さらに諸外国のHPVワクチン接種率は軒並み高水準でありますが、これまで重篤な副反応が問題になったことはありません。(海外のHPVワクチン接種率:アメリカ61%、カナダ87%、イギリス83%、オーストラリア82%)
 HPVワクチンの安全性が十分に確かめられた結果、2022年4月からHPVワクチンの定期接種の積極的勧奨が再開されています。
これらの医学的根拠よって、日本で安心してHPVワクチンを接種することができるようになりました。
 

接種スケジュールとキャッチアップ接種

HPVワクチンの接種スケジュール

 HPVワクチンの接種スケジュールは対象者の年齢とワクチンの種類によって決まっています。決められたスケジュール間隔で既定の接種を終えることが望ましいです。

※1:1回目と2回目の接種は、少なくとも5か月以上あけます。5か月未満である場合、3回目の接種が必要になります。
※2・3:2回目と3回目の接種がそれぞれ1回目の2か月後と6か月後にできない場合、2回目は1回目から1か月以上(※2)、3回目は2回目から3か月以上(※3)あけます。
※4・5:2回目と3回目の接種がそれぞれ1回目の1か月後と6か月後にできない場合、2回目は1回目から1か月以上(※4)、3回目は1回目から5か月以上、2回目から2か月半以上(※5)あけます。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/index.html

 

キャッチアップ接種について

 HPVワクチンの接種勧奨が差し控えられていた時期に本来であれば接種できていたはずなのに接種の機会を逃してしまった方に対して、公平にワクチンの定期接種の機会を保障するものになります。
 平成9年度~平成18年度生まれ(誕生日が1997年4月2日~2007年4月1日)の女性でHPVワクチン接種をしていない方は公費でワクチン接種を受けることができます。
 キャッチアップ接種の対象者には、それぞれの住民票のある市町村から接種券とお知らせが届いています。この年代の女性は進学や就職で実家を離れていても、住民票を移していない方が大勢いると思いますので接種の機会を逃さないようにしてください。
 

子宮頸がん検診とHPVワクチンの併用

検診とワクチン併用が必要

 HPVワクチンだけではすべての子宮頚癌に対応していないため、十分ではありません。定期的に子宮頸がん検診を受けることで、ほとんどの子宮頚癌は癌になる前の前がん病変でみつけることができます。前がん病変の段階で診断がつけば、完治の可能性が高く、子宮を摘出する必要がなくなります。
 
 HPVワクチンを接種した上で、定期的な子宮頸がん検診を受けることを推奨します。
 

子宮頚癌は撲滅可能な病気と考えられています

 人類がワクチンによって1980年に天然痘を撲滅したことを知っている方は多いのではないでしょうか?WHOは同じように、子宮頚癌も撲滅可能であると宣言しています。その大きな理由は、HPVワクチンの効果が非常に高いことと、子宮頸がん検診によって前がん病変でみつけることが可能なためです。

  WHOが提言する子宮頚癌撲滅に必要な条件

HPVワクチン接種率90%以上
子宮頸がん検診受診率70%以上
子宮頚癌もしくは前がん治癒率90%以上

引用:https://iris.who.int/bitstream/handle/10665/336583/9789240014107-eng.pdf?sequence=1

 

当院の取り組み

 

万全のフォローアップ体制

 HPVワクチン、子宮頚がん検診のエキスパートとして、皆さんが安心してワクチン接種、検診を受けられるように、わかりやすい説明を心がけてしっかりフォローアップさせていただきます。もちろん、検診で異常が見つかった場合は、精密検査~そのあとの結果のフォローまで当院で行います。
 

お待たせしない予約システム、土曜も夕方まで診療

 子宮頸がん検診を一番受けるべき女性は、仕事や育児で忙しい毎日を過ごしていることが多いため、忙しいという理由で検診受診が後回しになってしまうことがあると耳にします。当院は、忙しい女性ができる限り少ない滞在時間で済むような予約システムの運用を目指しています。
 また、HPVワクチン接種の対象者である中学生から高校生の女性が、学校を休むことなくワクチン接種を受けられるように土曜日も夕方5時まで診療しています。
 

副反応が出た場合の対応

 HPVワクチンは副反応のリスクが少ない安全なワクチンですが、接種後に心配な症状や不安なことがある場合は当院でしっかりフォローさせていただきます。専門的な診察や治療が必要な場合は、石川県内の専門施設と連携してスムーズに受診できるようにフォローさせていただきますのでご安心ください。
 

子宮頚がん検診とHPVワクチン接種で不安なことがあればご相談ください

坂本レディース
クリニック

電話番号 076-225-3305
〒921-8064 石川県金沢市八日市4丁目376
最寄り駅:JR西金沢駅 徒歩約20分 西金沢駅からの道順
駐車場24台完備

受付時間
09:00-12:30
14:30-18:00

  • △ 13:30から17:00まで
  • 診療時間は変更となることがあります。
    お知らせでご確認ください。

WEB予約LINE友だち登録
※LINEアカウントをお持ちの方はLINE友だち登録後のトーク画面からご予約いただくとID登録が不要です。
 

HPVワクチン・各種ワクチンに関する投稿

坂本レディースクリニック公式ブログ