これからは産婦人科の時代!

産婦人科医になってから周りの医療従事者の人や患者さんから「どうして産婦人科医になったの?」と聞かれることがよくあります。これってたぶん、内科の先生とか、整形の先生とかに「どうして内科になったの?」とか「どうして整形外科になったの?」とか聞く人ってそんなにいないと思うんですよね。

なかには、「女性を診る」産婦人科にわざわざ「男」の医者がなるなんて、変わってるなと思う方もいるんじゃないかなと思います。でも、産婦人科ってめちゃくちゃやりがいのある楽しい仕事ですよ。産科では毎日、新しい知的生命体が地球にやってくる瞬間に立ち会えますし、自分の知識と技術でお母さんと赤ちゃんの両方を助けられたらめちゃくちゃかっこいいです。婦人科では、若い女性から高齢の女性まで幅広く診察・治療することができます。女性というカテゴリーでざっくり患者さんを診れるのは、臓器ごとに診れる範囲が決まっている他の診療科にはない婦人科ならではの魅力だと思います。少子高齢化がすすむこれからの日本の未来が楽しく明るいものになっていくためには、女性の活躍が必要不可欠です。その女性の健康を生涯サポートできる仕事って最高にやりがいがあると思いませんか?私はこれからは女性をトータルで診る産婦人科医の時代がくると確信していますので、これから医者になる医学生さん達にはぜひとも産婦人科を選んでいただきたいと思っています。

あと、男なのに産婦人科って実際どうなの?って思う方も正直いると思います。私が産婦人科の医局に入局したての頃は、「あんたは女性の産婦人科医には一生勝てないよ、理由は男だから」と豪語する女医さんがいて衝撃を受けたことを覚えています(笑)。たしかに女性の医師を希望されて産婦人科を受診される患者さんもいらっしゃいますが、最近はそういう患者さんはほとんどいなくなったように思います。私は性別云々ではなく、大切なのは自分が患者さんにとって信頼に値する人間でいられるかどうかなのかなと思っています。そもそも産婦人科って女性にとってめちゃくちゃ受診のハードルが高いと思うんですよね。病院に行ったら下半身丸出しにされて、内診台にのせられて、見えないカーテンの先にで器械を入れられて診察されるって、めちゃくちゃ怖いですよね。それでも患者さんが産婦人科に受診されるのは、「本当に困っていて悩んでいる」受診せざるをえない理由があるからなんです。つらい症状に悩んで悩んで、覚悟を決めて受診するのが産婦人科なので、私たち産婦人科医はその気持ちを十分理解した上で真剣に向き合って診療にあたる必要があります。たくさん患者さんを診てきている医者にとっては、そのたくさんの中の一人の、ささいな症状に感じるかもしれないですが、患者さんって清水の舞台から飛び降りるような気持ちで病院にきてるときがあると思います。だからどんなにささいなことでも絶対蔑ろにしてはいけないと常に考えるようにしてます。

では、患者さんにとって信頼に値する人間にいられるためになにをすべきか。私の中では答えは一つで、常に勉強をして、自分の知識と技術をブラッシュアップし続けていくことだと思っています。完璧な人間がいないように、常に100%正しい診療や治療ができる医者はいません。最初の診断が間違っていたり、よかれと思って行った治療が裏目にでてしまったり、人間の体なので予想外のことが起こったり、様々なことがあります。そもそも日進月歩していく医学の中ではこれまで常識だった知識があっという間に過去のものになっていきます。1人ひとりの患者さんの訴えに耳を傾けて、真剣に診療にあたる。その中で、医者自身が常に新しい知識を勉強して成長していく。それを続けていける医者こそが、患者さんの信頼される医者になっていくのだと思います。初心を忘れず、生涯勉強です!

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