扇風機のカタカタ音と耳障りな羽虫の音を聞きながら
最近、寝る前にTikTokで海外一人旅している若者の動画をよく見ています。
カバンひとつで見知らぬ土地に降り立ち、ネズミやゴキブリと共生してるような、湿っぽくて狭くてちょっと薄汚い格安ホテルに泊まる。天井にはカタカタと音を立てる扇風機。シャワーはぬるい水がちょろちょろと出てくるだけ。用を足すのも躊躇するようなトイレ笑。だけど、それがなんだか妙に落ち着くんです。
知らない街の知らない道をただ歩いて、日が沈んだら、現地の食堂に入って、メニューも読めないけど勘で注文して、思いがけず美味しかったり、まあまあだったりする食事に出会う。屋台でおばちゃんのハンドレクチャー付きチャーハンを買って、スーパーでローカルビールを調達して、ホテルのベッドの上で一人晩酌。
あの時間って、思い返すと最高に贅沢だったんだなと思います。
医者になってからは毎日が濃密で、ありがたいことにやりがいにあふれていて、気づけば朝から晩まで患者さんの診療に追われています。忙しいし、大変だけど楽しい。でも、TikTokでふとあの頃の旅の映像を見かけると、じわっと胸の奥があたたかくなります。
もうあのジメジメしたカビ臭いベッドに泊まることはないかもしれないし、耳障りな羽虫の音と扇風機のカタカタ音に悩まされて眠ることもないかもしれません。でも、あのとき汗をかきながら食べた屋台のチャーハンの味や、熱帯夜のカビ臭い枕の匂いは、今でもはっきりと覚えています。
10代後半から20代前半にかけてカバン一つでいろんな国を旅していたあの時間。
何者でもなかったけど、だからこそ自由で、どこにでも行けた。
今とは違うけど、あの頃の自分がいたから、今があるんだなと、しみじみ思います。
みなさんも、ふと昔の旅や、何気ない日常の中の特別な時間を思い出すことってありますよね?
なにがいいたいかというと、今週もおつかれさまでした。
週末も楽しんでいきましょう!!