開業して一週間
こんにちは、院長の坂本です。内覧会からたくさんの方にご来院いただき、本当にありがとうございました。新規開業のクリニックのために私もスタッフもまだまだ不慣れで、患者さんの皆さんにはご迷惑をおかけしてばかりで毎日が反省の日々です。本当に申し訳ありません。
今は一人ひとりの患者さんの訴えに耳を傾け、全力で診療することに力を注ぐようにしています。至らない点は毎日少しでも改善していき、患者さんのご期待に応えられるクリニックにしていきたいと思いますので、何か至らない点があればぜひご指摘をよろしくお願いします。
0からクリニックを立ち上げて、一週間診療してみて感じたことは、伝えたい人に伝えたいメッセージを届けることの難しさです。一生懸命がんばってくれているスタッフに対しても、自分としては伝えたいことを伝えているつもりが間違った風にメッセージが伝わっていたりして、本当にいろんな面で自分の未熟さを思い知らされました。
伝えたいメッセージを伝えたい人に届けることの難しさはほかの点でも感じています。たとえば、1997年~2007年生まれの女性は、子宮頸がんワクチンの風評被害のせいで接種するべきワクチンが接種できていません。この世代の女性は、子宮頸がんワクチンの公的接種の対象ではないのですが、風評被害の間にワクチン接種の機会を奪われた保障として、今からでも公費でワクチン接種を受けられるキャンペーンを国がすすめています(キャッチアップ接種)が、ほとんどの女性は公費でのワクチン接種を受けていないのが現状です。
この10年近くの間にワクチンの安全性も確認され、日本でも世界でも子宮頸がんワクチンの定期接種を強く推奨されている現代においても、日本における子宮頸がんワクチンの風評被害は根強く残っています。この10年間の間に接種率の高いフィンランドやスウェーデンでは、子宮頸がんが劇的に減少していますし、日本で報じられたような副作用の報告は世界中探してもありません。この10年間の間にワクチン接種を受けられなかったために、本来であれば癌にならずに済んだ方が新たに癌になっていく日本の現状に危機感を覚えています。
石川県は全国的にみても、子宮頸がんワクチンの接種率が低い県です。国をあげて接種が強く勧められている定期接種ワクチンのはずなのに、一部のリテラシーの高い方のみがワクチン接種を受けている現状は解決すべき問題だと思っています。予防接種というのは、リテラシー関係なく国民全員が公平にその恩恵にあずかれるべきですし、せっかく癌を予防できるのにただ【知らないから】【なんとなく怖いから】という理由だけで、将来的な癌のリスクを未来の子供に背負わせている現実をなんとかしなければいけないと思っています。
子宮頸がんワクチンの安全性や有効性を啓蒙するために、当院での試みとして、ブログや公式ホームページで試行錯誤しながら情報を発信していますが、本当にメッセージを届けたい人たちにはなかなかそれが届いていないであろうという難しさを感じています。
とくにキャッチアップ接種は期限があり、2025年3月までにすべての接種を終えるためには今年の9月までに1回目の接種を終える必要があります。もうほとんど時間がありません。現在石川県の17歳から27歳の女性のほとんどは子宮頸がんワクチンも打っていないし、キャッチアップ接種も受けていないと思います。
【知らないから】【なんとなく怖いから】という理由で貴重な機会を失い、将来ならなくてもいい癌になることだけはあってはならないと思います。これまで癌の患者さんをたくさん診てきた経験からも、自分自身も3人の娘の父親としても、そんなつらい思いを未来の子どもたちにさせたくはないです。当院としてなにができるか、まだ具体的な答えはないですが、何かできることがないか試行錯誤しながら取り組んでいきたいと思います。引き続き、地域の皆さんの健康をサポートできるクリニックを目指して努力していきますので、これからも当院をよろしくお願いいたします。