出産後や加齢に伴い、「膣のゆるみ」やそれに伴う不快症状に悩む女性は少なくありません。具体的には次のようなお悩みがよく聞かれます。
- 若い頃より膣の締まりが悪くなったと感じる
- 尿漏れ(咳やくしゃみ、ジャンプで少量の尿が漏れる)
- **性交時の痛み(性交痛)**や乾燥感による不快感
- 入浴後に膣に入ったお湯が垂れてくる(いわゆる「お湯漏れ」)
こうしたデリケートゾーンの症状は、出産による骨盤底筋へのダメージや、加齢・閉経による膣粘膜の萎縮・ホルモン低下で起こります。放っておくと性生活の質(QOL)低下だけでなく、尿トラブルが続くことで日常生活にも支障が出かねません。しかし現在は、メスを使わず短時間で行える**「切らない膣治療」によって、膣のゆるみ治療や尿漏れ・性交痛の改善が可能になっています1。今回は当院でも導入予定の yoniHIFU(膣ハイフ)・yoniRF(膣RF) という最新の治療法について、それぞれの特徴と効果、そして従来からあるレーザー治療「モナリザタッチ」**との比較をわかりやすく解説します。
目次
yoniHIFU(膣ハイフ)とはどんな治療?
yoniHIFU(ヨニハイフ)は、高密度焦点式超音波(HIFU)を膣内部に照射して組織を引き締める治療です。HIFUはもともとリフトアップ目的で顔のたるみ治療に使われてきましたが、それを膣専用に応用したものです。超音波エネルギーを膣粘膜の下3~4.5mmの深部組織に集中的に当てて加熱し、コラーゲン産生を活性化させることで膣壁にハリをもたらします。表面の粘膜を傷つけずに内部からタイトニング効果を発揮するためダウンタイムはほとんどなく, 治療直後から普段通りの生活が可能です。

期待できる効果とメリット
- 膣の引き締め効果:膣のゆるみ改善による性交時の満足度向上が期待できます。実際、膣ハイフ治療を受けた女性では治療3~6か月後に膣のゆるみ自覚スコアが有意に改善し、女性機能スコア(FSFI)も全領域で向上したとの報告があります。こうした効果は1回の治療でも比較的早期(数週間)に現れ、半年以上持続することが確認されています。
- 尿漏れの改善:HIFUエネルギーが膣壁や周囲組織を引き締めることで、尿道を支える力が高まり軽度の腹圧性尿失禁(咳や運動時の尿漏れ)にも効果があります。実際、HIFUは非侵襲的で安全かつ有効な尿失禁治療法として報告されており、症状や膀胱機能、骨盤底筋力の改善により生活の質が向上したとの研究結果があります。
- 膣粘膜の若返り効果:膣ハイフは粘膜下のコラーゲン再生を促すため、更年期以降の膣乾燥や萎縮にも一定の効果が期待できます。ある研究では、HIFU治療後に膣の潤い指標(VHI)が有意に改善し、性交痛など更年期症状の緩和にもつながった2と報告されています。つまり膣の潤い・弾力アップによる性交痛改善にも寄与しうる治療です。
- 施術回数が少なくて済む:yoniHIFUでは、一度の照射で広範囲をカバーできるため基本的に1回の治療でも高い効果が得られます(症状に応じて追加照射する場合もあります)。施術時間も短く、忙しい方でも負担が少ない点は大きなメリットです。
痛みやリスク・注意点
yoniHIFUはメスを入れない非侵襲の施術であり、麻酔なしでも耐えられる程度の刺激と言われています。照射中に一時的に熱感や軽いチクチクした刺激を感じることがありますが、レーザー治療のような表面の灼熱感はなく、施術後に粘膜がただれるリスクもほとんどありません。痛みに弱い方は事前に麻酔クリームを併用することも可能です。治療後は当日から入浴や日常生活が可能ですが、念のため性交渉は1週間程度控えるよう推奨される場合があります。
yoniRF(膣RF)とはどんな治療?
yoniRF(ヨニRF)は、膣内や外陰部に高周波エネルギー(Radio Frequency: RF)を照射して組織をじんわりと加熱する治療です。RFの温熱効果により膣粘膜やその下の組織の血行が促進され、線維芽細胞が刺激されて新たなコラーゲン生成が高まります。その結果、膣の潤いや弾力が回復し、膣壁全体の軽度のたるみ改善や尿漏れ緩和につながります。高周波治療はレーザーやHIFUと異なりごくマイルドな加熱であるため、粘膜が萎縮してデリケートな方でも受けやすいのが特徴です。実際、yoniRFで使用するプローブ(機械の先端)は小さめで、萎縮の強い閉経後の方にも適応しやすい設計です。
期待できる効果とメリット
- 膣の引き締め(タイトニング):RFによる穏やかな加熱でも、施術を繰り返すことで膣壁のコラーゲン密度が高まり、ゆるみの改善効果が得られます。ある研究では、月2回ペースで4~6回の高周波治療を行ったところ、治療後には自己報告による膣のゆるみ感が大幅に改善し、性生活の満足度も向上したと報告されています。この改善効果は治療終了後12か月間にわたり維持され(閉経後の萎縮症状の方では安定持続)、膣のゆるみが気になるグループでも6~9か月は効果が持続したとのことです。※膣のゆるみ治療の場合、半年~1年毎にメンテナンス照射を追加すると効果を長持ちさせることができます。
- 軽度の尿失禁の改善:RF治療でも骨盤底組織の血流改善と軽度引き締めによって尿道周囲の支持組織が強化されます。高周波治療を受けた患者では腹圧性尿失禁や切迫性尿失禁の症状スコアが有意に改善したとの報告もあり、日常生活での「くしゃみや運動時の尿漏れ」が減る効果が期待できます。
- 膣粘膜の潤い改善:RFの温熱効果で膣や外陰部の血行が良くなり、粘膜の新陳代謝が活発になります。そのため、閉経による膣乾燥感やかゆみの軽減、性交痛の改善にも有用3です。実際、RF治療を受けた閉経後女性では性交痛など萎縮関連症状が大きく緩和し、満足な性交ができるようになったケースが報告4されています。レーザーのように直接粘膜をアブレージョン(剥離)しないため、とくに粘膜萎縮が強くレーザー照射が難しいような方にも適した治療と言えます。
- 痛みがほとんど無く短時間でできる:yoniRF最大の特徴は施術の快適さです。膣内に専用ジェルを塗布したプローブを挿入し、高周波エネルギーを360度照射しますが、痛みは全くと言っていいほど感じず、ほんのり温かい感覚だけです。施術時間も時間で済みます。麻酔も不要で、施術後のダウンタイムもありません。治療直後から通常通りお仕事や運動も可能で、「忙しくて時間がない…」という方でも昼休みやお買い物ついでに受けられる手軽さもメリットです。
治療プランと注意点
yoniRFは単回でも効果はありますが、理想的には数週間おきに計3回程度の施術で最大の効果を引き出します。例えば1か月おきに3回コースなどを推奨するクリニックもあります。効果の現れ方には個人差がありますが、多くは2~3回目の施術後あたりから「尿漏れしにくくなった」「膣の潤いが増した」といった変化を実感します。以降は半年~年に1回程度のペースでメンテナンス施術を行うことで、効果を持続させることができます。
安全性は高く、副作用らしい副作用は報告されていません。ごく稀に照射後に軽い腫れや発赤が出ることがありますが、自然に治まります。こちらも施術後当日から入浴や日常生活に制限はありませんが、念のため施術当日の性交渉は控えていただくようお願いしています。
yoniHIFU・yoniRF・モナリザタッチの比較
HIFUとRF、そしてレーザー(モナリザタッチ)の3つの治療法の特徴を比較してみましょう。それぞれメカニズムや施術方法は異なりますが、目的とする効果には共通点もあります。
治療法 | yoniHIFU(膣ハイフ) | yoniRF(膣RF) | モナリザタッチ(CO2レーザー) |
---|---|---|---|
エネルギーの種類 (作用原理) | 高密度焦点式超音波 (HIFUで膣深部を点状加熱) | 高周波(ラジオ波) (RFで膣組織を一様加熱) | 炭酸ガスフラクショナルレーザー (CO2レーザーで粘膜に極小の熱損傷) |
主な効果 | 膣壁の引き締め、 尿道支持組織の強化、 潤い・弾力アップ | 膣粘膜の潤い・弾力アップ、 軽度の引き締め、 血行促進による感度向上 | 膣・外陰部粘膜の再生、 潤い改善(萎縮症状の緩和)、 軽度の引き締め |
痛み | やや刺激あり(麻酔クリーム併用可)。 照射時に熱感や響く感覚があるが我慢できる範囲 | 痛みほぼ無し。温かい感覚のみ 麻酔不要。 | 軽い痛みあり。 施術前に麻酔クリームを塗布し対応。 照射後にヒリヒリ感が出ることも。 |
施術回数 | 1回でも効果実感。 必要に応じて半年~1年後に追加。 | 3回程度のコースがおすすめ。 (例:月1回×3回) ※効果維持には半年~1年毎に1回 | 3回コースが基本。 (1〜2か月間隔で3回) ※その後は年1回程度のメンテナンス照射 |
施術時間 | 約20~30分 | 約5~10分(膣内照射8分程度) | 約10~15分(麻酔クリームの塗布時間別途) |
ダウンタイム | ほぼ無し。直後から日常生活OK。 当日から入浴可。 | 無し。直後から通常通りOK。 | 軽度の腫れ・帯下が数日出る場合あり。 性交渉は3~5日控える。 |
こういう方に | 出産後の膣ゆるみ、 尿漏れをしっかり改善したい方。 即効性と持続力を重視する方。 | 痛みが苦手な方。 膣萎縮が強くレーザーに抵抗がある方。 手軽にデリケートゾーンケアをしたい方。 | 閉経後の**GSM(萎縮性膣炎)**で 乾燥・性交痛が主な悩みの方pubmed.ncbi.nlm.nih.gov。 膣のアンチエイジング全般。 |
※上記はいずれも自費診療のためクリニックによって施術費用が異なります。また効果の現れ方には個人差があり、症状の程度や体質によって適した治療法も変わります。どの治療を選ぶかは医師とよく相談のうえで決めましょう。
モナリザタッチは閉経後のGSM治療の第一選択
モナリザタッチは膣粘膜に微細なレーザー照射を行うことで組織再生を促す婦人科レーザー治療です。とくに閉経後の膣乾燥・萎縮や性交痛など、いわゆるGSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)や萎縮性膣炎の症状改善において、世界的にも実績のある第一選択治療となっています。レーザーの熱エネルギーによって膣粘膜が若返り、潤いや弾力が蘇ることで、性交痛・繰り返す膀胱炎・かゆみといった不快症状が大きく緩和されます。閉経周囲の膣萎縮の強い患者様にはモナリザタッチによる治療をまずご提案いたします。ただしレーザー照射時に多少の痛みや照射後の軽い炎症が生じる場合があるため、**「痛みが心配」「できるだけ刺激の少ない方法でケアしたい」**という方には、今回ご紹介したyoniHIFUやyoniRFといった選択肢も有用です。症状やご希望に応じて最適な治療法を一緒に検討していきましょう。
まとめ:デリケートゾーンの悩みはお気軽にご相談を
「膣のゆるみなんて人に相談できない…」「尿漏れは年齢のせいだし仕方ない」と諦めていませんか?デリケートゾーンのトラブルは、決して恥ずかしいことでも特別なことでもありません。出産や加齢とともに誰にでも起こりうる変化ですし、適切な治療によって改善できる**“女性にとって大切な生活の質”**の問題です。
坂本レディースクリニックでは、モナリザタッチをはじめとする婦人科レーザー治療や、最新の膣HIFU・膣RF治療まで、切らない膣のゆるみ治療に幅広く対応いたします。それぞれ**メリット・デメリットがありますが、専門医があなたの症状や希望を丁寧に伺い、最適な治療プランをご提案いたします。**デリケートゾーンのお悩みを抱える方は、どうか一人で悩まず当院にご相談ください。女性医療の専門家として、安心して治療を受けていただけるよう全力でサポートいたします。一緒に快適な毎日を取り戻しましょう。
投稿者プロフィール

- 院長
- 大学病院で10年以上、診療と研究に従事してきました。産婦人科だけではなく、尿漏れや頻尿などの女性泌尿器疾患、高血圧や脂質異常症などの女性の生活習慣病の予防治療に力を入れています。アンチエイジング、美容医療、健康マニア。話題の美容医療はだいたい試しています。当院では、自分がやってよかったと思える美容医療だけをお手軽価格で提供してます。なんでもご相談下さい!
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