こんにちは、坂本レディースクリニックの坂本人一です。

今回は、クラミジア感染症についてお話しします。クラミジアは日本で最も多い性感染症の一つですが、自覚症状が少ないため気づかずに放置してしまうこともあります。放置することで腹膜炎や、その後の不妊症の原因になりえます。当院でも20代、30代~40代の女性に最も多く認めるもっとも身近な性感染症です。

早期発見・早期治療が重要なので、ぜひ最後までお読みください。

クラミジア感染症とは?

クラミジア感染症は、Chlamydia trachomatis(クラミジア・トラコマティス)という細菌によって引き起こされる性感染症(STI)です。
性行為(膣性交・口腔性交・肛門性交)を介して感染し、特に10代後半〜30代の若年層で多く見られます。女性の場合は、子宮頚管や咽頭に感染することが多いです。

クラミジア感染の特徴
  • 約70%の女性、50%の男性が無症状(CDC, 2021)
  • 女性では放置すると骨盤内炎症性疾患(PID)を引き起こし、不妊や子宮外妊娠のリスクが上昇(WHO, 2023)
  • 喉(咽頭クラミジア)にも感染する可能性がある
  • 感染者の再感染率が高い(約20〜30%が再感染)(Hocking et al., 2020)

クラミジアの症状

女性の場合
  • おりものの増加
  • 不正出血(生理以外の出血)
  • 下腹部痛
  • 排尿時の違和感や痛み

無症状のまま進行すると、卵管炎や骨盤内炎症性疾患(PID)を引き起こし、腹痛や不妊の原因になることがあります。
米国CDC(2021)の報告によると、未治療のクラミジア感染者の約10〜15%がPIDを発症するとされています。

男性の場合
  • 排尿時の痛み
  • 透明〜白色の尿道分泌物
  • 精巣の痛みや腫れ

男性も女性同様に症状が出にくくいため、気づかずに放置すると前立腺炎や精巣上体炎(不妊の原因)につながることがあります。

クラミジアの検査方法

当院では、クラミジア感染の有無を調べるために、以下の検査を行っています。

  • 膣分泌物PCR検査
  • 咽頭うがい液PCR検査

検査は簡単で、結果は1週間以内にわかります。

特におりものの変化や不正出血のある方、パートナーが感染している可能性がある方は、早めの検査をお勧めします。

※男性は尿検査になりますが、当院では男性患者の検査・治療は行っておりません。

クラミジアの治療

クラミジアは抗生物質で治療できます。当院では、アジスロマイシン1000㎎1回投与の治療を推奨しています。

治療中の注意点
  • 治療が終わるまでは性行為はしない
  • パートナーも同時に治療することでピンポン感染を防ぐ
  • 治療後に再検査(3週間後程度)を行い、完治を確認する
  • 近年、アジスロマイシンの耐性菌の出現も報告されているので必ず完治を確認する必要があります。

クラミジア感染を予防するには?

性感染症を防ぐために重要なことです。

  • コンドームを正しく使用する(避妊だけでなく感染予防にも有効)
  • 特定のパートナーと互いに定期的に検査を受ける
  • 定期的な婦人科検診を受ける(年1回のSTI検査を推奨)
  • 異常を感じたらすぐに受診する

クラミジアは「知らないうちに感染し、知らないうちに他人にうつす」という特徴があります。避妊のためにピルを内服していても。特定のパートナーと性行為をする場合でも必ずコンドームを使用するようにしましょう。自分とパートナーの健康を守るためにも、リスクを理解し、適切な対応を心がけましょう。

まとめ

  • クラミジアは日本で最も多い性感染症の一つ
  • 無症状のことが多いため、違和感を感じた時にすぐ検査することが重要
  • 放置すると骨盤内腹膜炎や、不妊、子宮外妊娠のリスクが上昇する
  • 抗生物質で治療可能だが、パートナーも同時に治療を受けることが必須
  • 定期的な検査と予防策を徹底しましょう
  • 坂本レディースクリニックでは、プライバシーに配慮した検査・診察を行っていますので、安心してご相談ください。

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参考文献(海外文献)
  1. Centers for Disease Control and Prevention (CDC). (2021). Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines. https://www.cdc.gov/std/treatment-guidelines/
  2. World Health Organization (WHO). (2023). Global Health Sector Strategy on Sexually Transmitted Infections. https://www.who.int/publications/
  3. Hocking, J. S., et al. (2020). "Chlamydia reinfection rates and management strategies." The Lancet Infectious Diseases, 20(3), 245-256.
  4. Horner, P. J., et al. (2018). "Effectiveness of azithromycin and doxycycline in treating rectal chlamydia." Clinical Infectious Diseases, 67(4), 570–577.
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投稿者プロフィール

坂本人一
坂本人一院長
大学病院で10年以上、診療と研究に従事してきました。産婦人科だけではなく、尿漏れや頻尿などの女性泌尿器疾患、高血圧や脂質異常症などの女性の生活習慣病の予防治療に力を入れています。漢方マニアです。美容医療が趣味で自分にもいろいろ試しています。当院では、自分がやってよかったと思える美容医療だけを厳選して提供してます。なんでもご相談下さい!