トリコモナス膣症は、トリコモナス原虫(Trichomonas vaginalis)という寄生虫によって引き起こされる性感染症(STI)の一種です。男性も感染することがありますが、多くの場合、無症状のまま経過します。女性では、おりものの異常やかゆみなどの症状が現れることがあります。

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主な症状

  • 異常なおりもの:黄緑色で泡状の悪臭のあるおりもの
  • 外陰部や膣のかゆみ・痛み
  • 排尿時の痛みや違和感
  • 性交時の痛み

ただし、感染しても症状が出ない場合もあり、そのまま放置するとパートナーへの感染リスクが高まります。症状が乏しいこともありますので、おりものが何か変だな?と違和感を感じられたり、かゆみなどの症状がある場合は、早めの受診をお勧めします。

感染経路

主な感染経路は性行為(膣性交)ですが、トリコモナス原虫は水分のある環境で生存できるため、湿ったタオルや浴槽を介した感染の可能性も報告されています。

診断方法

以下の検査によって診断されます。

  • おりもの検査:顕微鏡で原虫の存在を直視で確認
  • PCR検査:遺伝子レベルでの詳細な検査(2022年6月から保険収載)

疑わしい症状がある場合は早めの受診が大切です。

顕微鏡検査の動画(当院症例)

0.1㎜程度の原虫が動いているのがわかると思います。診断は難しいですが、見つけられればその場で確定診断できます。

治療方法

トリコモナス膣症の治療には、抗原虫薬(フラジール)が用いられます。治療中は以下の点に注意が必要です。

パートナーと一緒に治療を受ける:片方だけ治療すると再感染のリスクがあります。

アルコールの摂取を控える:治療薬とアルコールの相互作用により、吐き気や頭痛が起こることがあります。

治療が完了するまで性交を控える

予防方法

コンドームの使用:感染リスクを大幅に減らすことができます。

複数のパートナーとの性行為を避ける

定期的な婦人科検診を受ける

まとめ

トリコモナス膣症は、放置すると慢性的な炎症や不妊の原因となることもあるため、早期発見・治療が重要です。違和感がある場合は、とりあえず婦人科を受診しましょう!

投稿者プロフィール

坂本人一
坂本人一院長
大学病院で10年以上、診療と研究に従事してきました。産婦人科だけではなく、尿漏れや頻尿などの女性泌尿器疾患、高血圧や脂質異常症などの女性の生活習慣病の予防治療に力を入れています。漢方マニアです。美容医療が趣味で自分にもいろいろ試しています。当院では、自分がやってよかったと思える美容医療だけを厳選して提供してます。なんでもご相談下さい!